慰謝料は請求できる?交通事故による頭蓋骨骨折で後遺症が残ったら

交通事故で頭部に外傷を負い、死亡に至る確率は5%と言われています。それほど高い確率とは言えない数字ですが、脳に損傷を負うと運動麻痺や感覚障害、言語障害など、様々な後遺症を残すことがあり、その後の生活は大変です。

頭蓋骨骨折も、交通事故による頭部外傷で起こりやすい症状の一つです。これによって後遺症が残ったときの慰謝料についてまとめてみたので、参考にしてください。

頭蓋骨骨折の種類

頭蓋骨骨折と一言で言っても、種類があります。交通事故で起こりやすい骨折は、頭蓋円蓋部骨折と頭蓋底骨折です。その内、頭蓋円蓋部骨折は線状骨折と陥没骨折に分けられ、頭蓋底骨折は前頭蓋底骨折と中頭蓋底骨折、後頭蓋底骨折に分けられます。

線状骨折は頭蓋骨にひび割れの線が入るくらいの軽度な骨折で、保存療法が一般的です。陥没骨折は頭蓋骨が複雑に割れた上に陥没してしまう状態で、脳にまで骨がめり込んでしまうと脳にもダメージが行き、脳挫傷も発生することが多々あります。

脳に損傷がない場合は保存療法が取られるものの、損傷がある場合は手術が必要です。脳挫傷とは脳が崩れることで、出血すると脳挫傷性血腫と呼ばれます。また、脳挫傷が起こる部分は直接ダメージを受けた部分でなく、正反対の部分に起こることがあります。

頭蓋底とは、表面に見えない頭蓋骨の中心部です。脳を支えている部分で、神経や血管が沢山集まっていところでもあります。頭蓋底骨折の中でも発生しやすいのは、脳の前頭葉辺りを支える前頭蓋底の骨折、前頭蓋底骨折です。

脳の側頭葉辺りを支える中頭蓋底を骨折すると中頭蓋底骨折、脳の後頭葉や小脳辺りを支える後頭蓋底が骨折すると後頭蓋底骨折となります。頭蓋底骨折すると髄液漏が発生することがあります。脳脊髄液が耳や鼻の穴から漏れてくるので、頭蓋内に細菌が入り髄膜炎が起きたり、反対に空気が入り込み気脳症が起きたりする可能性もゼロではありません。

それから、頭蓋底に沢山ある孔には脳神経が通っており、その部分が骨折すると、脳神経麻痺が起こることがあります。治療は髄液漏、もしくは脳神経麻痺に対して行われ、前者は絶対安静、後者はステロイドなどによる薬物療法が基本治療です。

後遺障害が残った人はいくら補償される?

交通事故で頭蓋骨骨折した場合、その骨折部分や程度によっては、後遺症が残ることがあります。代表的な後遺症には、高次脳機能障害と麻痺が挙げられます。自動車保険会社では、後遺症が残った被害者に対して損害賠償金を支払いますが、金額を左右するのは、後遺障害等級です。

等級は16級まであり、損害保険料率算出機構という公正な立場の第三者機関が等級を決めます。最高級となる後遺障害1級(要介護)と判定された場合でも、自賠責の限度額は4000万円です。後遺障害を負った人の年齢にもよりますが、年齢が低いほど、この金額は妥当と言えなくなるでしょう。

後遺症が残ったら精神的苦痛に対する賠償も見込める

交通事故の被害者になったとき、怪我が完治するのなら単なる不運で済ませられるかもしれませんが、後遺症が残る可能性があるなら、とてもそうは思えないでしょう。通院期間が長引くほど不安が募り、先の見通しが立てられなくなることもあるのではないでしょうか。

これは法律的に見ると精神的苦痛に当たり、損害賠償の対象となります。損害賠償金は慰謝料と呼ばれ、後遺症が残った場合は後遺症慰謝料を請求することが可能です。さらに、後遺障害が認められる以前に治療を行っているので、傷害慰謝料も併せて請求できます。

慰謝料は自分で請求できる

傷害慰謝料と後遺症慰謝料を請求するためには、診断書を警察署に提出して、人身事故として認定されるのが必要です。慰謝料を請求する先は、加害者が加入する自賠責保険か任意保険が一般的です。しかし、任意保険会社が一括対応することになっているため、請求先は任意保険会社と考えておきましょう。

任意保険は自賠責保険から下りる慰謝料を立て替えて被害者に支払っておいて、後から自賠責保険会社の負担分を請求します。また、自賠責保険会社は慰謝料の限度額が低めなので、その額をオーバーした分は任意保険会社がカバーします。

ですから、示談交渉に自賠責保険会社が出てくることは、ほぼありません。しかし、任意保険会社に一括対応してもらう場合、示談交渉が成立するまで慰謝料が支払われないというデメリットがあります。さらに、治療費の打ち切りが早まる可能性も否定できません。

これを避けるには、自分で行う、被害者請求を選択するのが有効です。各種保険会社で出している損害賠償額支払請求書を始めとする書類を、自賠責保険会社宛てに送るだけです。書類は他に、警察署からもらった交通事故証明書や事故発生状況報告書、医療施設からもらった後遺障害診断書や診療報酬明細書、通院交通費明細書もあります。

自賠責保険会社では支払い基準に則って金額が設定されるので、請求額の欄に記載してもしなくても構いません。

慰謝料の算定基準

慰謝料の金額基準は、自賠責保険基準、任意保険基準、弁護士基準があり、金額はこの順に上がっていきます。自賠責保険基準では入院期間か実際に通院した日数の2倍の通院期間を比較して少ない日数を選び、その日数に4200円かけて120万円を限度に支払額を算出します。

120万円以上になった部分については、任意保険会社が支払うことになるので、そこから登場するのは任意保険基準です。任意保険基準では1ヶ月を30日で設定して基準が設けられており、症状や後遺障害の程度によって金額を増減していきます。

自分で納得できるだけの慰謝料が欲しい場合は、弁護士基準を基に算出した金額で請求するといいでしょう。しかし、弁護士を雇っていない人が弁護士基準で請求しても説得力に欠け、要求が通る可能性はほぼありません。自分が加入している任意保険に弁護士特約が付いている人は、ぜひ活用して弁護士を雇いましょう。

特約が付いていない場合でも、弁護士報酬を差し引いても回収金額が大きいと思われる場合も雇うのがベストです。自分で請求するにしても、計算するのが大変でよく分からないという場合は、まず無料の法律相談を利用してみるといいかもしれません。

法律相談は法テラスや役所で行っていますし、初回相談料を無料にしている法律事務所もあります。さらに、都市部には交通事故紛争処理センターが設置されており、依頼すると無料で弁護士に仲裁してもらうことが可能です。

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